大阪銀行協会フロントページへ

会長会見・挨拶

鵜川会長 年頭挨拶

2024 年 1 月 5 日
一般社団法人 大阪銀行協会

鵜川 淳 大阪銀行協会会長 年頭挨拶

 1 月 4 日に開催した当協会の新年賀会における鵜川淳会長(池田泉州銀行頭取)の年頭挨拶を下記のとおりお知らせします。



 新年早々の元旦に、能登半島地震が発生しました。 この災害によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、全ての被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。続けて2日には、羽田空港で旅客機と海上保安庁の航空機が衝突するという信じられないような事故が発生しています。
 そのような中ではありますが、新しい年の初めに当たり、ご挨拶申し上げます。

 大阪銀行協会の新しい場所で初めての賀詞交歓会となりました。私も色々な会合で訪れることが有り、このダイビル16階にも馴染んできました。当協会も、手形交換所という大きな役割を終え、140年の歴史を経て大きな転換点にあり、社会経済の変化の中で、金融機関と利用者を繋ぐ役割が今後どのようになっていくか。渦中の私達は真に暗中模索の状態ですが、後々に、今の時代がどのような転換点として位置付けられているのか、覗いてみたいような気がします。

 さて、新年の干支は「甲辰(きのえたつ)」。甲(きのえ)は陰陽では陽のはじめ。辰(たつ)は成長し形が整った状態を指すとのことで、まさに新時代の幕明けを告げる年と言えます。また、「辰」、「竜」に因んだことわざの中に「登竜門」というのがございます。ご案内の通り、竜門という黄河中流にある急流地帯を登り切った鯉は竜に変化するという、その関門、これが登竜門ということです。考えますと、今年は世の中が良い方向に向かう手前で様々な「関門」があるように感じます。

 国際政治面では台湾総統選挙に始まり、ロシアとアメリカでの大統領選、韓国とインドの総裁選など、その結果によっては我が国への大きな影響が想像されます。国内でもいわゆる「岸田減税」、自民党総裁選などが続きます。

 そして、金融業界における「甲辰」の登竜門は、真に、マイナス金利解除、バランスのとれた金利体系への回帰、ということだと思いますが、そこに向けても、簡単ではない関門、登竜門が待ち受けているように感じるのです。

 年末に内閣府が発表した日本の2022年度の1人当たりの名目GDPは主要7か国で最下位という結果でした。円安が要因の1つということですが、ドル円の水準は2023年の方が円安に振れていると考えると、昨年はより厳しい結果になったのではないかと推測されます。そもそも円安は輸出企業やインバウンド需要にメリットが有る一方で、行き過ぎると国際比較でみた日本国力の様々なランキングに影響を及ぼしてしまう懸念が有ります。
 また、マイナス金利政策の見直しで注目されている、物価と賃金の好循環サイクルの確認ポイントとなる「春闘」の動向も、円安メリットを享受していない中小企業等にとっては、何とか賃上げの工面をしたら次は金利上げか、という局面にあることにも留意が必要です。
 更に2024問題など労働力不足の問題が全事業者の人材獲得競争に拍車をかけ、ポストコロナの産業構造改革がハードランディング化する懸念を孕んでいます。事業者支援をミッションとする金融機関としての登竜門はかなりの急流だと感じます。
 しかしながら、私達はそれらの急流の前で逡巡している訳にはいきません。次々と急流に突っ込み、様々な策を打ちながらチャレンジし続けなければなりません。

 大阪銀行協会も、皆様方の力強いご支援を賜りながら、協会業務の運営に確りと取組んで参りますので、ご協力の程、何卒宜しくお願い致します。また、大阪関西万博プロジェクトも、厳しい急流を乗り越え来年の開催に向けて確りとした地歩を固められることを期待し、応援していきたいと思います。

 新年、「甲辰」の年、皆さんと共に登竜門を確りと登り切って大きな竜となって上昇していくことを祈念しまして、私のご挨拶と致します。有難う御座いました。

以  上

〔本件に関する照会先〕
大阪銀行協会・調査部 電話 06-6867-9133