大阪銀行協会フロントページへ

会長会見・挨拶

「黒田東彦 日本銀行総裁との懇談会(4団体共催懇談会)」における髙島会長挨拶

2022 年 9 月 2 9 日
一般社団法人 大阪銀行協会

「黒田東彦 日本銀行総裁との懇談会(4団体共催懇談会)」における髙島会長挨拶

 9 月 26 日、大阪銀行協会、関西経済連合会、大阪商工会議所、関西経済同友会の4 団体は、毎年恒例の標記懇談会を 3 年振りにリアルで開催(会場:リーガロイヤルホテル)しました。
 当協会からは、髙島 誠会長(三井住友銀行頭取)が出席し、開会挨拶で下記のとおり述べましたので、お知らせします。


 大阪銀行協会の髙島でございます。
 黒田総裁におかれましては、大変お忙しいなか貴重な懇談の機会を頂戴致しまして誠にありがとうございます。
 また本日ご出席の高口大阪支店長をはじめ、日本銀行の皆様には日頃より格別のご高配を賜り、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 本日は、大阪の銀行界を代表して少しお話しさせて頂ければと存じます。

 まず世界経済をみますと、ウィズコロナ路線が定着しつつあり緩やかな回復基調を維持しています。
 多くの国々で行動制限が緩和され人流が概ねコロナ前の水準に戻りつつあり、サービス消費の回復を軸に個人消費全体が堅調に推移しております。また企業によるデジタル投資・環境投資など先行きに備えた設備投資も旺盛です。
 しかしながら足許は、コロナ後のリバウンドによる供給制約、需給の不均衡を契機とし、ロシアのウクライナ侵攻も加わって、エネルギー・資材価格高騰と賃金上昇が続いた為、インフレが高水準で推移し、主要各国が急激な利上げに動いており、イギリスなどではスタグフレーションのリスクが高まるなど世
界的な景気後退が懸念されます。またウクライナ情勢の長期化・混迷化や米中両国間の緊張の高まりなど、引き続き世界的な地政学リスクには留意が必要です。

 次にわが国ではコロナ感染者数は減少傾向にはありますが、依然高い水準にあります。そのような中でも、景気は持ち直しの基調を維持しております。
 先行きについては、値上げ品目を拡大しつつ続いている物価上昇に賃金が追いついていない状況に注意が必要ではありますが、家計の所得環境の悪化は限定的であり、個人消費の回復基調は大きくは崩れないと見ております。設備投資についても、世界経済の減速と為替相場の急変や企業収益の動向には注視が必要ですが、デジタル投資・環境投資のほかこれまで先送りされてきた更新投資の実施が見込まれます。加えて、関西においては特に、先日追加緩和が発表された海外からのインバウンドの受け入れの本格化も期待されます。
 足許の景気の下振れリスクには十分留意しつつも、今後の持続的な経済成長を実現するためには、賃上げが必須でありこの面でのさらなる取り組みが重要だと認識しております。

 さて大阪・関西は今後数年間、万博のほか「うめきた 2 期」開発や IR などチャンスが目白押しであり、わが国経済の牽引役になり得ると考えております。
 その一番の目玉は、申すまでもなく先日、開催まで 1,000 日を切った 2025年の大阪・関西万博です。万博は 2 兆円ともいわれる経済効果によって関西経済を底上げするほか、中長期的にも万博の場を未来社会の実験環境として、多様な主体が新たな産業やビジネスの種を共に創る、すなわち「共創」によって関西のみならずわが国経済の起爆剤となることが期待されています。
 こうした機運を当地から全国さらに世界に拡げていくことが重要だと考えております。

 最後に金融政策について申し上げます。
 黒田総裁が 2013 年 3 月に就任されて以降、約 9 年半にわたり進められてきた強力な金融緩和政策のもと、わが国はデフレ的な状況からの脱却を実現いたしました。足元の物価動向をみますとコア CPI は前年比で 2%を超える水準で推移しており、企業・家計共にこの物価高はしばらく続くと見ているものと思われます。
 一方、金融・為替市場では、海外との金利差拡大による円安進行や長期金利の上昇圧力も見られるなど、先行きは不透明さを増しています。
 大変難しい局面ではございますが、日本銀行におかれましてはこうした様々な外部環境の変化を踏まえたうえで、大規模な金融緩和政策の効果、副作用の両面を検証しつつ、市場との対話を重視した柔軟な政策運営を進めていただくようお願い申し上げます。
 私ども銀行界と致しましては、大阪・関西を金融面からしっかりとサポートし、関西経済の発展ひいてはわが国経済の発展に貢献して参りたいと考えております。
 今後ともよろしくご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
 本日の懇談会が、有意義なものとなりますことを祈念し、私からの挨拶とさせていただきます。

以 上

〔本件に関する照会先〕
大阪銀行協会・調査部 電話 06-6867-9133