「植田和男 日本銀行総裁との懇談会(4団体共催懇談会)」 における半沢会長挨拶

9月24日、当協会は、大阪商工会議所、関西経済連合会、関西経済同友会の3団体とともに、毎年恒例の標記懇談会を大阪市内で開催しました。
当協会からは、半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取)が出席し、主催者団体の代表として、下記のとおり述べましたので、お知らせします。
記
大阪銀行協会の半沢でございます。
植田総裁におかれましては、大変お忙しいなか、関西経済界との懇談の機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。また、本日ご出席の神山大阪支店長をはじめ、日本銀行の皆様には日頃より格別のご高配を賜り、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。本日は、大阪の銀行界を代表いたしまして、いくつかお話させていただければと思います。
はじめに、世界経済の情勢についてです。11月に迫る米国大統領選のほか、緊迫化する中東紛争など、地政学的な不透明さを抱えつつも、GXやDXに関する産業および社会構造への転換が急速に進んでいます。
今後は、主要国におけるインフレの鎮静化と金融緩和を支えとしつつ、巡航速度の成長軌道へ戻っていくものと考えております。
そして、日本経済については、足許、企業業績や設備投資意欲が総じて堅調であり、今年の春闘では、約30年ぶりとなる高水準の賃上げとなりました。今後、所得の改善が家計へと浸透するにつれて、景気は緩やかに回復を続けると考えています。
次に、関西経済に目を転じますと、とりわけインバウンド需要が大きく、関西国際空港の外国人入国者数や百貨店免税売上高がコロナ禍前の水準を上回るなど、景気を力強く支えています。
当地域の輸出比率の大きさを踏まえると、海外景気が想定以上に減速した場合、経済への下押し影響には留意が必要ですが、基本的には日本経済と同様に、緩やかな景気回復基調が続くものと考えております。
また、日銀短観でもお示しいただいたとおり、関西企業の本年度の利益計画は、コロナ禍前以上の水準を維持しており、設備投資計画も全国平均よりも力強く、当地での投資意欲の高さが窺えます。
こうした経済の力強さを背景として、直近1年間の関西地区の貸出残高は、前年と比べて3%程度の増加傾向にあります。
企業の資金需要の先行きにつきましても、当協会が先般、大阪府内の金融機関向けに実施したアンケート調査に基づくと、売上の増加や設備投資の増強を要因として、当面、資金ニーズは堅調に推移するとみております。
そして、中長期的には、今月、先行街びらきを迎えた「グラングリーン大阪」を皮切りに、2027年のワールドマスターズゲームズやIRなど、我が国の経済をけん引するポテンシャルが数多くあります。
特に、当面の最も力強いけん引役は、開幕200日前となる「大阪・関西万博」です。ピークを迎えるパビリオンや会場整備などへの投資は、関西経済をさらに押し上げる要因となります。また、万博を契機として、医療・健康、新エネルギーなど、次世代をリードする様々な取り組みも行われています。こうした流れを資金調達面だけではなく、ビジネスマッチングや産・官・学との連携など、事業面からも支援することで、関西経済の発展により一層、貢献して参りたいと考えております。
最後に、金融政策について申し上げます。
先般、我が国の経済・物価が見通しに沿って推移していることから、政策金利の引き上げと国債買入れの段階的な減額を決定されました。今後の金融政策運営におかれましても、経済・物価・金融情勢に加えて、賃上げ動向なども見極めながら、適時適切にご判断頂くことを期待しております。
私ども銀行界と致しましては、関西経済ひいては我が国経済の発展と金融の安定に確りと貢献して参りたいと考えております。
今後ともご支援・ご指導を賜りますよう、よろしくお願い致します。以上をもちまして簡単ではございますが、私からの挨拶とさせて頂きます。
以 上
〔本件に関する照会先〕
大阪銀行協会・調査部 電話06-6867-9133